もともとスタッフにLINEで共有しようと書いていたところ、
「あれ、これって需要あるんじゃね?」と思ったので記事にします。
ちなみに僕は治療内容もまあそうなんですがどちらかと言うとサービスや声かけの部分を気にして受けるタイプです。運営目線。
もちろん鍼灸師だという事も予約時に伝えてますし掲載許可もいただいてます。
HARI-UP六本木ヒルズ院
HARI-UP六本木ヒルズ院に治療を受けに行って来ました。
都内に7店舗を構える「ドクター・リウ鍼灸院」の系列。
総院長の劉先生はビートたけしさんの顔面神経麻痺を治したことでも有名。
難病を得意とし、楽天の三木谷社長もクライアントとかいう異次元モンスター。
そんな劉先生の手がける院が日本が誇る巨大要塞六本木ヒルズにリニューアルオープンしたというので先日見学に。里見浩太朗氏からの祝いのでかい胡蝶蘭があって泡吹きました。
鍼灸ベッド12台リラクベッド3台くらいの規模。
完全自費でだいたい昼すぎまでで100人くらい来院するオバケ院です。
基本的にスタッフは業務委託という形で出来高制だそう。
施術者には指名数や売上に応じてC~Sランクの格付けがあり、流行ってる院の院長クラスだと年収(オフレコなので直接聞いてね 笑)万くらいだそうです。
いきなり下世話な話。でも夢あるよね。
僕の担当してくれたのは小柄な女性で、同世代かちょい上くらいのSランクの方。
施術はというと、治療の前に非常にサラッとした問診(3分くらい?)と簡単な姿勢検査。
忙しさ、回転や満足度を考えると施術の中で「触れば分かるぜ」というアプローチの方が有効だからなのかもなーなんて思ったり。
立位になって背部をなでるように触ったり、たぶん肩の高さや骨盤の傾き、重心などをみてたような感じ。
で、うつ伏せから施術。整体20~30分。触り方としては深層の筋筋膜へのアプローチかなーと。小柄ながら力強い的確な施術。触りながら不良姿勢の原因探ってる印象。
オフィスワーカー男性の多い六本木ヒルズで人気なのがわかる。
その後セイリン一番で単刺&置鍼。刺しながら遠隔の目的部位の緩み具合を確かめていく。
以下気付いた点を箇条書きに。
・若干うつ伏せ姿勢がしんどいベッドだったんだけど、ちょっと時間が経つ度に僕の微妙な動きを見ると「しんどくないですか?大丈夫ですか?」と聞いてくれた
・切皮痛や刺入痛が出た感覚のある時は逐一「痛かったですか?」と聞きなぜその部位に鍼の痛みが出たのかを説明してくれた。
・検査の時は「どこそこがこうですね~」とかは一切言わなかったが、いざ治療をする時は「なぜここに鍼をするのか」を検査結果や体の状況を交えて、見立てとともに逐一伝えながら施術してくれた。これなら例えば片側だけの治療でも「なんで?」とか思わないし説得力もとてもあり、後の再検査の時にも役に立ついい伝え方。
・張っている部分の関連性を見つけると「昔ここ怪我とかしました?」と聞かれ、やられている側からすれば「なんでわかるの?」と思うだろうことが施術の中に多分に含まれていた。
・不良姿勢や不調の原因は複雑。それを端的に伝えつつも「今日は右腰の方が良くなかったのでそこまでいけませんでしたが、左の足首周りや右の肩もしっかり治療してあげたい感じです。そうすると姿勢がだいぶよくなると思うのでかなり楽になってくると思います」といったようにすぐ先の未来を具体的にイメージできる声かけ(提案)はさすが。
60分程の施術時間の中で、そんなにたくさん話をしたわけではないが随所にリピートされる秘訣を感じた。
身体も、翌日はドーンと来るが翌々日からスッキリ軽くなり動きやすい。
こりゃ通いたいと思うだろうなーと月並みな感想。
鍼灸師の中の「当たり前」は極力排除するのが吉
鍼の技術うんぬんってどこで感じますか?
プロである僕たちですら、受けた時の評価基準は曖昧だと思う。
切皮痛や刺入痛の有無はまあ技術のひとつ。でも部位によって出る時は出る。
選穴や組み合わせなんか刺されてる人は当然わかるはずもないし、
治療効果、といっても即座に感じるような類の変化は運動器系くらいで。
やはりゆるやかに中から変化していくというのが一般的かなと。
そんな中で重要なのは「伝える」技術だと思う。
鍼灸師は問診や触診などから本当に様々な情報を得て分析しながら治療する。
が、そのほとんどは患者に伝えず行われる
それってめっちゃもったいなくね?
心当たりありませんか。
なぜそういう治療をするのか?
なぜそこに鍼や灸をするのか?
いま自分の身体になにが起こっているのか?
今後どういう変化を辿るのか?
そういった鍼灸師にとっては当たり前に感覚で行われているところを言語化して伝えるということは非常に大切。
先ほどの治療で気付いたことを見て
え?そんなこと?どれも当たり前じゃん。
と思った人ほど患者とのギャップが開いている可能性がある。
鍼灸を受ける人は何もかもが初めてで不安なケースが多い。
また、一鍼灸師一流派とも言われているように院や鍼灸師が変われば、患者はまた新たな気持ちで治療院の門を叩くのだ。
鍼が痛い。灸が熱い。
どんな効果があってどんな結果が出る。
体質や症状の鑑別。
そのどれもが患者にとっては何が何やらわからないのである。
知らないことは怖いし、よくわからないことは評価のしようがない。
鍼灸師がドヤ顔で施術を終えても、自分の身体に何が起こったのかわからない患者は
「はい、ああ、なんか軽くなったような…ありがとうございました。」と言うしかない。
鍼灸師が伝えるべき情報
- 問診、検査や触診によって鑑別した診立ての説明
- 院でできる最善の治療方針(患者希望など踏まえない場合の)
- 治療部位ごとの理由説明
- 過去の同症例の話
- 他の治療方法や部位の可能性の提案
- 鍼や灸の刺し手側の感覚からわかる情報とその理由
- 施術により変化のあった部分の説明
- 今後どういう経過を辿るか
- 変化があまり出せなかった場合の推測や他の提案
- 必要治療回数や頻度
大原則はいかに患者目線になれるかということ。
場合によっては患者のことを第一に考え自院以外の治療の選択肢(例えば医院や他の治療、ケア方法)を勧めるということもあっていいのではないかと思う。(自院がベストである努力は当然必要だけど)
鍼灸師にとって当たり前な切皮の感覚や響きなどはかなり大きな感覚の差がありそう。
響きも「もうすぐもわーんとくると思いますよー」と言いながら出されるのといきなりズドーンとくるのとでは随分印象が違うはず。
人は
「あ、この人は自分のからだのことをわかってくれる」
「親身に私のことを考えてくれる先生だからなんとかしてくれそう」
という人に身体を委ねたいもの。
技術も当然必要なんだけど、一番大事なのはこの患者に向き合う姿勢なんじゃないかなと。それによって治療効果ももっと高まるはず。
そんなことを治療を受けて感じた。
1人30~60分、1日20人くらい診る治療院。働いてみたいようなみたくないような。笑