考えれば考えるほど思う。
他の業界の成功事例が全てこの鍼灸業界にそのまま通用するのか?
個人的な答えはノーだ。
もちろん、成功法則の本質部分は当然ほとんど通用するんだけど。
でも、そんなに簡単なことなら今の業界の現状ってないと思うんだよね。
資本力のある組織が、王道のビジネスモデルやノウハウをただ踏襲するだけではなかなかうまくいかない。
それは「鍼灸師」という人材がなかなかに変わった人種だからにほかならない。
コミケの話は重版出来!ってマンガ読んでてふと思ったことなのでみんなマンガ読むべき。そして頭に浮かんだことを言語化すべき。
— シンヤツバサ (@two_eight_three) May 6, 2018
何が起こるかわからんのだよ。
重版出来!おもしろくって。
特に「オタク市場」と「鍼灸市場」は非常に共通項が多くて親和性も高い気がした。
たとえば日本は「オタク文化」がとても発展していて、市場規模も大きい。
だからといって大手が「かわいくてエロいキャラつくっときゃ売れんだろ楽勝だな」とかっつって大量の資金を投じてマーケティング含めきっちりやっても大コケしたりするなんてことが多々ある。
オタク市場に受け入れられるためには「言語化しにくい部分」いわばカルチャーに沿っている必要があるんだなと。
そうなると閉鎖的になっちゃうのでは?って思ったりするんだけど。
「カルチャーに合った良い物」だけで構成されているマーケットは熱量が違うようで。
コミケというモンスターイベントを構成する要素
それを象徴するのがオタクの祭典「コミックマーケット」略してコミケ。
実のところ、新屋も詳細なことはよくわかってない。
なんか同人誌やグッズ売ったりコスプレしたりするイベント。4日くらいで東京ビッグサイトに50万人を動員するとかいう地獄のイベント。
近隣の交通機関やコンビニがコミケ期間すごいことになる、みたいなイメージがある程度。
参考。簡潔にまとまっていて特徴をよく捉えているような気がする記事。
「なにそれ、ちょっと行ってみたい…」と思った、あなた…
これだけは、言っておきたい。
——————— 絶対に、行かないほうがいい
と、言うのも。
まず、コミケは素人がフラっと立ち寄って、雰囲気だけ楽しんで帰ってこれる場所ではない。混雑・人ごみは言うまでもなく、メイン会場で販売されているのは同人誌である。コンクリート打ちっ放しのだだっ広い会場に、長机が永遠と並んでいる。知識のない状態では、視覚的に楽しいものはあまりないだろう。
次に、買い物をするにしても、かなり並ぶ上に、真の意味で情報戦となる。あらかじめ目星がついている状態で、目的地に直行するのがセオリーだ。フラフラと見て回って、ショッピングをする場所ではない。
また、これはTVでも取り上げられているが、コミケに限らずとも、ここらの界隈には暗黙のルールやマナーがある。そして厄介なことに、このルールは破ったからといって、直接叱られることはあまりない。その代わり、匿名のTwitterでボヤかれるなり、叩かれるなりする。つまり、このルールは真にこちらの人間にならないと身につかないものが多く、付け焼き刃では到底太刀打ちできない。
もうね。おもろいだろ。
こんな排他的でわけのわからないイベントに50万人もの人間が足を運び、多くの人が熱狂しているのだ。
しかも、みんなが口を揃えて
「別に面白くもなんともないイベント」だと言うのだ。
しかもイベントの運営スタッフは・・・
【概要】
毎年夏と冬、年二回開催されるコミックマーケットの文字通り運営スタッフの事。
基本的にボランティアで構成されており、学生から社会人まで本職は様々。
例えば救護室にいるスタッフは(当然の事ながら)プロの医師、看護師である。
中には某漫画雑誌編集長もいる。
現在、登録者は毎回3000人(でも実働は…)に達するとかしないとか。【よくある誤解】
バイト代わりに参加したいんだけど、日給いくら?
→出ねえよ
交通費は?
→出ねえよじゃあなんでやってるんだよ!?ばかなの?しぬの?
→「好きだからやってんだよ!もんくあっか!?」
なんとほぼ全員ボランティア。
当然出てくる疑問が・・・
【そんな事しないで金で雇えばいいじゃん。儲けてるんだろ?】
→実際問題、金で雇ったバイトはほとんど当てになりません。
一日15万人を捌く、わずか三日間だけのコミケスタッフは何よりも積み上げたノウハウと、やる気が物を言います。
やる気がなく「金貰えれば適当でいいや」だったり、その日限りで二度と参加しないアルバイトばかりだと、毎回ほぼ全員に新人として業務を教え直さなければならず、非効率的というより全く意味ないばかりか、トラブルの可能性が激増します。
(過去、オンリーイベントで何度かそのようなことが発生しており、一般参加していたコミケスタッフがいつの間にか列整理を始めていたという話は黒歴史と共に伝説になっていたり)
だからこそ「同人イベントが好きで意欲的に参加してくれるスタッフ」である必要があるのです。
圧巻。マネしようったってできるものじゃない。
しかし。ここに「鍼灸の日」をはじめ昨今の鍼灸の「一般化」みたいな流れとは逆行する性質の鍼灸隆盛のヒントがあるんじゃないか?なんてことをふと思った。
こういうイベントは「陽」のもの。今までの鍼灸業界には乏しかった部分、新たな潮流であり希望のひとつ。表舞台に立てればそれほどいいことはない。業界の悲願である。
でも、もともと鍼灸業界ってどっちかっていうと「陰」・・・いや完全に陰だと思う。だけど、なんかちょっと気取っているというか。「我こそは官軍」みたいな矜持あるじゃないすか。いろんな歴史背景あってだと思うけど。
だからその陰系にもっとどっぷり振った戦略ってあまり表立ってはなされてこなかったのかなーって。(知らんだけ説ある)
セイリンのリンちゃんとかは若干それっ気あるけど、だいぶ置きにいってるし。
要は
コミケのように
・ニッチなのに
・熱狂的な人ばかりで
・「愛」ともいえるものだけを頼りに運営されている
そういう陰側に振り切ったことを鍼灸でなんかやれねえかなと。
ポテンシャルはあるんじゃないかと思ってる。要件は備えているように思えて。
鍼灸が好きで意欲的に参加する鍼灸師による最高にニッチで熱狂的な催し。
昨今の敷居を下げて門戸を開く方向性とは真逆に振り切った超クローズドでアングラだけどどうしようもなく必要で身を切ってでも行かねばならないイベント。
ここまで書いて
そんなもん可能なの?
という疑念しか生まれないけど、無理筋なことほど、理解されないことほど当事者はたぶん面白いんだろうなって思う。
なにより成し得たら最高だし。
ここ最近いろんな人と「なんか鍼灸で面白いイベント打てないかな」とか「オシャレでキャッチ―なイベントできないかな」とか「フェスやりたいね」という野望について散々話してきたんだけど、なんか腑に落ちない部分っていうのはここにあったんじゃねえかと感じてる。
それはそれで絶対やるべき。だけどまだ親和性に課題がある気がする。カルチャーが浸透していないのだ。
鍼灸師たちが抱える闇や性質にどっぷり迎合したイベント。そういうのもあっていいんじゃないか。「選ばれし陰の者たちの集い」みたいな中二感剥き出しの。
もしかしたら大衆受けなんか狙ってるから業界のマジョリティに刺さらないのかもしれないよね。(しらんけど)
ちょっとこれについてはみんなで考えたい。
アホみたいなアイディアとかドン引くほどの企画案お待ちしてます。