TsubasaShinya.Tokyo~鍼灸を身近に感じるメディア~

鍼灸師目線で世の中のことを見ていくメディアです。経営のことや組織論などのカタい話から「やってみた」「いってみた」や「美人すぎる鍼灸師」などの情報を好き勝手にお届けしていきます。

【保存版】鍼灸院就活のススメ~学生向け鍼灸院就職マニュアル~【前編】

自分も通ってきた「鍼灸院の就活」という道。

鍼灸業界はそもそも雇用をしているところ自体もまだまだ少ない。。

選択肢が少ない中なんとか就職先を見つけたにも関わらず、思ってたようにいかず道半ばにして鍼灸師として生きる道を断ってしまう・・・

 

そんな人をたくさん見てきました。

たくさん勉強して、安くない学費を払い、人生を賭けて就職したにも関わらず、です・・・。

 

歴史ある鍼灸業界ではありますが「雇用」に対しては非常に未熟な業界です。

しかし!なにもあなたがその犠牲になって人生損することはない。

 

自分にできることはしっかりやって、理想の職場に巡り合いましょう!!

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まずいつから何をしたらいいの?

 

全体の流れを理解する

まずは全体像の把握。一般職とは少し勝手が違うのでしっかりイメージしておくとよいでしょう。

①鍼灸国家試験の日程

②卒業試験の日程

③試験に向けての追い込み時期

あたりをまずイメージし「いつ頃に内定があればいいか」を逆算します。

もちろん、エントリー時期が決まっている鍼灸院さんもあるので気になる院がある場合は早めに問い合わせてみましょう。

面接を申し込むタイミングは3年次でいいでしょうが、希望の院に接触をするのは早ければ早いほどいいと思います。

 

卒業までのスケジュールが把握できたら次は業界研究

業界地図みたいなのが鍼灸業界にもあればいいんですが・・・

「会社四季報」業界地図 2018年版

「会社四季報」業界地図 2018年版

 

ないので自力で探します。

探す方法としては・・・

  • Facebookの「鍼灸関連のグループ」などに加入して情報収集する
  • 各地にある「〇〇県鍼灸師会」の学生会員になる
  • ネットで検索しまくって気になるところをリストアップ
  • 学校の先生に相談する

などが挙げられます。

Facebookは今の若い世代からすれば馴染みの薄いSNSかもしれませんが、ビジネスの情報交換や共有という役割においては現状最も活発なメディアだと思います。

非公開グループであることが多いので、参加すれば就活だけにとどまらず経営や技術に関する情報などの一般には出回らない貴重な情報もたくさん手に入れることができます。また各地で積極的に交流イベントを開催している鍼灸師の先生もたくさんいらっしゃるので、是非他校の学生や地域の先生との繋がりを持っておきましょう。

 

鍼灸業界団体はたくさんあり、中でも最も大きい日本鍼灸師会系列の団体は各都道府県に支部がある。所属することで業界歴の長い先生や各種研修やボランティアなどの情報が手に入ります。学生会員はあまり多くないので、所属するだけで諸先輩方から気にかけてもらえる可能性が高いです。

 

現在は自院のHPに力を入れているところが多いので、昔より情報を手に入れやすいかと思います。どんな治療方針なのか?理念や人柄は自分の理想とマッチしていそうか?などを特に見てみるといいでしょう。

 

鍼灸学校の先生は無条件であなたに親身になってくれる頼りになる存在です。自分の希望や理想とする将来像をしっかり伝えて、一緒に最適な希望就職先をみつけましょう。

人は自分を頼ってくれる存在に何かしてあげたいと思うものです。学生の方から積極的に先生に相談することをおすすめします。

 

また、少ないですが鍼灸院求人サイトなどを眺めてみるのもいいかもしれませんね♪

 

 

あとは、こういうすごい飲み会もあるようなので積極的に参加するといいかもしれません!笑

 

まとめ

 

まずすべきことは、早めに就職希望の院と関係を持つことではあるんですが、それを見つける為には

  • 自分が将来どういう鍼灸師になりたいのか
  • どんな鍼灸師生活を送りたいのか

ということをある程度明確にすることが大事だと思います。鍼灸師を志したらまず、5年後、10年後どういう風に過ごしていたいかを考えてみるといいですね。

 

気になる院が見つかった。どうしたらいい?

 

その院は本当に自分に合ってる?

あなたの就職において最も重要なことはあなたの鍼灸師人生の明るい将来につながっているかどうかというところです。

ではそれを何で判断したらいいの?というところですが、その前にここで少し考えてみてください。

・あなたはなぜ「鍼灸院に就職」したいのですか?

・就職することで何を実現したいのですか?

開業権のある鍼灸師。別に卒業後即開業したっていい訳です。

なぜ、就職という道を選ぶのですか?

 

求職者は、自分が「探す・選ぶ」ということをしていく内にどうしても無意識に自分本位になりがちです。

志望する上では「選考する相手もまた、自分本位で求職者を選ぶ」ということを意識しているかどうかは非常に重要な要素だと思います。

自分のことだけを考えて志望してくる求職者を、果たして採用側は魅力的に思えるでしょうか?

 

自分がその院に何をもたらすことができるのか?

どのように貢献することができそうか?

という角度で考えられたら、素晴らしい出会いがありそうですね。

 

少し話が逸れましたが、自分が幸せになれるかどうかをどう判断するか?

判断基準はいくつかあります。

  • 給与、賞与、昇給などの条件面
  • 休暇や労働時間の状況
  • 院長の人柄
  • スタッフの雰囲気

外からわかることと言えばこのくらいが一般的でしょうか。

上の二つはいわゆる雇用条件面ですね。生活をしていく上で重要な部分です。

下の二つは働いていく自分をイメージする為のものさし的な要素です。

どちらも重要ではありますが、重視するとしたらどちらか?というのがまず求職者の悩みを生む部分かなと思います。

どちらも同じウェイトで見てしまうと、どうしても優劣がつけにくくなってしまいます。

個人的には、条件面は自分の中で「最低基準」を設けてそれを満たす中で下二つの要素が一番合致するところが理想と思うとよいかなと考えます。

 

生活していけないような条件では幸せどころか生活もままならないので、まず安定した生活を送るのに必要な最低ラインを定めましょう。

その上で、トップである院長の治療方針理念、またそこから現れる人柄やスタッフさんがいるならそのスタッフさんがどういう雰囲気で働いているかを見るとよいでしょう。

今の時代はSNSやブログなどで発信をしている院も多いので、その投稿から醸し出される雰囲気を感じ取りましょう。そうしたメディアがない場合は実際に患者として治療を受けにいってみたり、アポイントを取って見学や面談を申し込んだりしてみましょう。補助のバイトを募集していたり、助手を受け付けているところもあるので、そういうのもいいかもしれません。

案外、学生さんが自分の院を訪ねてきてくれるのは嬉しいものですよ。

 

そしてここでよく陥りがちなのが「好条件に目がくらむ」パターン。

もちろんとても大事ではありますが、給与の額や福利厚生だけで判断すると自分のやりたいこととズレがあったり雰囲気に馴染めないといったことが起こる可能性が非常に高いです。これはお互いにとって大変な損失なので、自分の「なりたい鍼灸師像」になれるかどうかを判断の要にしてくださいね。

 

そもそも、鍼灸師の就職先ってどんなところがあるの?

 

業界のことって、実際働いている鍼灸師でもよくわからないもの。おおまかに就職先の種類を分けてみます。

治療院の種類

おそらく一番求人募集の数が多いのが鍼灸接骨院/整骨院です。接骨と整骨は表記が違うだけです。(なぜこんなややこしいことをしたのか)

余談ですが「整体院」は国家資格を必要とせずに名乗れます。「骨」が入る接骨/整骨院は柔道整復師という資格が必要になります。(これ絶対「整骨院」という表記が招いてるとこある)

鍼灸接骨院の特徴は、多くの場合主な業務が健康保険を取り扱う「接骨業務」です。鍼灸は「取り入れている」というスタンスのところが多く、メインで鍼灸をやっているところはまだまだ多いとは言えません。

鍼灸接骨院のメリット

  • 母体が大きいところが多く福利厚生がしっかりしているところが多い
  • 来院患者数が比較的多く、たくさんの患者を診ることができる
  • 初任給が鍼灸院に比べて高め
  • グループ展開しているところも多く、同期や仲間がいる場合が多い

鍼灸接骨院のデメリット

  • どうしても柔整師中心の組織体系なので鍼灸師の存在感がうすめ
  • 来院数が多く、保険業務に合わせた施術になるので一人あたりの施術時間が短い
  • 施術単価が安くなりがち
  • 鍼灸を受ける患者が少ない場合も多く、その場合整体や物療補助などの業務が中心となる
  • 拘束時間がビックリするほど長い院が多い

 

続いては鍼灸治療院を挙げます。便宜上、鍼灸と合わせて整体メニューなどを取り入れているところもここに含みます。そもそも求人が少ないという問題もありますが、求人して人を雇用している院であれば逆に一番安心感があるともいえます。とはいえ、徒弟制度のある院もまだまだ多いのでしっかり条件等を確認しましょう。

鍼灸治療院のメリット

  • 鍼灸を中心とした施術ができる
  • 経験ある鍼灸師のもとで臨床経験が積める
  • 鍼灸以外の余計な仕事が少ない
  • 施術時間が比較的長いのでひとりの患者にしっかり向き合える

鍼灸治療院のデメリット

  • 求人をしている院が少ない
  • 薄給である場合が多い
  • 院によってはなかなか臨床に入れない

 

エステ×鍼灸のサロンも近年の美容鍼の流行により増えたように感じる。

エステ×鍼灸のサロンのメリット

  • 美容に特化しており深く幅広い専門性を有する
  • 顧客層がアッパーで単価が高い
  • 需要も多く経営的に安定しているところが多い

エステ×鍼灸のサロンのデメリット

  • 激務で労働時間が長くなりがち
  • 新卒では高単価を扱う精神的負荷がかかりやすい
  • 研修期間が長く給与が低め
  • 美容以外の領域は弱くなりがち

 

整形外科の鍼灸師という立ち位置も、あまり多くはないがある。筆者もこの立ち位置だった経験がある。最近では美容外科で鍼灸師が美容鍼をしているケースも。

整形外科の鍼灸師のメリット

  • 医師の管理下の現場でたくさんの急性・慢性症例が見れる
  • 雇用条件が安定している
  • 理学療法士や医師などの診断や治療を身近で見られる
  • 患者数が圧倒的に多い

整形外科の鍼灸師のデメリット

  • 給与の上げ幅が少ない
  • 治療はあくまで「医師の管理下」であること
  • 鍼灸師を雇用している医院が少ない
  • 病院内でのヒエラルキー的には最下層

 

雇用条件について

鍼灸治療院のみのところ以外は、正社員雇用で福利厚生がしっかりしているところが多いでしょうか。鍼灸院はあまり期待はできません。

 

初任給については・・・

病院>鍼灸接骨院>エステ≧鍼灸院

という傾向かと。

 

昇給については・・・

病院>鍼灸接骨院>エステ>鍼灸院

かと。鍼灸院やエステも歩合のところは凄まじい稼ぎを出せるところもあります。病院はだいたい数年で頭打ちになります。

 

拘束時間は・・・

鍼灸接骨院>エステ>鍼灸院≧病院

基本的にどこも長めではありますが、終業後や休日の研修や勉強会は圧倒的に前二つが多いでしょう。

 

どこも一長一短。

 

おおまかにはこんなところでしょうか。もちろん上記はあくまで一般論や体験に基づくものなので、異論もあるでしょうし院によってさまざまではあります。

その院がどういうスタイルなのか?どのくらいどんな患者が来ているのか?などは実際足を運んでみないとわからないものです。

 一生にそう何度もない就職というイベント。鍼灸院への就職ともなればなおさらです。

後悔しないように、おっくうなことでもしっかり取り組みましょう!

 

求職者の傾向を見ていると独立開業へ向けたステップアップの為や、どこへ行っても通用するようなスキル向上と考えて最初に就職する院は「自分にとって学びの大きい院」という視点で選ぶ方が多いような印象です。

自分の成長が見込める就職先を選ぶのは極めて当然の発想です。しかし、こと就活に関してはそこに潜む大きな落とし穴の存在を忘れてはいけません・・・。

【後編】でその落とし穴についてご説明しますので、是非合わせてお読みくださいね。

 ↓↓↓後編はこちら↓↓↓